生きる覚悟

9/13
前へ
/37ページ
次へ
それから2日後。 俺はついに移植を 受ける事になった。 隣のベッドで横たわる 親父の穏やかな表情に 目頭が熱くなる。 「親父、ありがとな」 ポツリと呟くように 言った俺の方へゆっくりと 顔を向けた親父が 笑いながら頷く。 「お前こそ良く 覚悟してくれたな。 それでも生きたいと 思える何かが見つけられたか?」 聞かれた言葉に俺は 小さく笑みを見せ それに答えた。 「ああ、見つけた。 全てが終わったら 親父にも紹介するよ。 俺の一番大切な人」 そう言いながら 見つめた窓の先には 今日も真夏の太陽が ギラギラと輝いているけれど。 その灼熱に負けないくらい 俺の胸も熱かった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2126人が本棚に入れています
本棚に追加