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2人の時間を切り取ったはずの写真にすら
2人の姿は、なくて。
どこを探しても、あなたを記録した画像も映像も、なくて。
あなたは
私の記憶の中にしか、存在しない。
だから
年月が記憶をおぼろかにしていくと共に
私が思い出すのはいつからか
黄金をバックにした、2枚の板になりました。
交わした会話を
心が揺さぶられた仕草を
2人きりの時だけ私を名前で呼ぶ甘い音を
全て失っても構わないと思わされた、熱い視線を
覚えているのに
忘れたはずがないのに
それでも今はもう
あなたの顔も声も
フィルターがかかったように、ぼんやりとしか浮かばない。
年月の経過は
抉るような痛みと一緒に
あの甘美な感情の昂りも、消し去って行こうとするのです。
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