異世界と白髪の少女

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「ほ、本当にすみませんでした!!」 そう言って俺の目の前で土下座する白髪の少女。 へぇ~こっちの世界にも土下座する文化ってあるんだな。まぁそんなことより 「もう気にしてねぇからいい加減顔を上げな」 「そう、ですか。………ところで貴方は何方でしょうか?」 「俺?俺は……」 ん?何で自己紹介になったんだ?そんな事はどうでも良いとしてどうしよう…… どう名乗ろう?此処は異世界だから外国風に名乗るとするか。 「俺はコウジ、コウジ=ヤガミ。ドラス王国の王都に向かっている単なる旅人だ」 クゥ~ 「あぅ//……」 随分可愛らしい腹の虫だな……。 音がした方を見れば、少女が顔を赤面して俯いていた。 「非常食持っているんだが食べるか?」 「…………食べます」 俺はカバンから水筒とドーナツを取り出して彼女に差し出す。 ――――数分後 「食べ物を下さってありがとうございました。………あの、先程まで居た筈の魔物たちは何処に?」 「魔物?あぁ、ヘルガー擬き達なら(閃光弾に驚いて)樹海の奥に帰って行ったぞ」 「は?」 「だから、樹海の奥に帰ったって」 「……嘘!?だってあれはダークウルフ。SSSランクの魔物。只の旅人の貴方が追い返せるわけ無い」 へぇ~あの擬き達ってそんなに強かったんだ。 「まぁ世の中には色々あるんだよ。そんな事よりもお前の名前は?」 「……ルナマリアと云います。名字は訳があって言えません」 「訳ありね。……まぁ俺には関係ないが理由は聞かないさぁ」 「そう言って頂けると有り難いです」  「それとは別で聞くが、なんでSSSランクの魔物が居る樹海の奥に一人で居るんだ?」 「……棄てられました。私に……ヒグッま、魔力が……ない、から……ウグッ……一族の……顔に…ヒグッ…泥を塗る……ヒグッと云う……理由で……ヒグッヒグッ……両親に」 目から大粒の涙を流しながら震える声で自分の辛い過去を語る彼女を自分の方に抱き寄せた。 「軽い気持ちで聞いて悪かった。君にとても辛い事を言わせてしまった………もう我慢しなくていい、泣きたいなら泣け。今は俺しか聞いてないから」 「うっ……うわぁぁぁぁーーーーん!!」
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