再会

3/40
1075人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
私が学生だった頃は教師の立つ台が黒板の前にあったけど、今の学校は生徒と同じ目線でいることが当たり前らしい。 ……だから、台らしきものもは何もない。 背の低い私は教卓の前に立つと、何となく不便に感じた。 それに教育実習生なんか、絶対に教師扱いしてくれないと思う。 このクラスは、見渡すかぎり普通のクラスだ。 別に不良っぽい子がいる訳でもなく、特別目立ってる子がいる訳でもなかった。 担任の先生も優しそうな年配の女教師だ。 私はその教師に渡された名簿をもとに、50音順に名前を読み上げていく。 「相沢君……」 「はーい!」 「伊藤君……」 「はいはい!!」 返事が耳に届くと視線を向けて、顔と名前を確認する。 この学校に半年も居るのだから、少しぐらいは馴染みたい。 ……初めての私の生徒。 名前ぐらいは覚えて帰りたいのも本音だ。 「じゃあ続いて、大野君……」 「ふあーい!」 このクラスの男子は元気がいい。 女子は教育実習生に興味はないのか、平然とメイクとかしていたり、隣の席の子と平気でお喋りをしている。 きっとこの学校は、校則があまり厳しくないんだろう……。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!