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私が学生だった頃は教師の立つ台が黒板の前にあったけど、今の学校は生徒と同じ目線でいることが当たり前らしい。
……だから、台らしきものもは何もない。
背の低い私は教卓の前に立つと、何となく不便に感じた。
それに教育実習生なんか、絶対に教師扱いしてくれないと思う。
このクラスは、見渡すかぎり普通のクラスだ。
別に不良っぽい子がいる訳でもなく、特別目立ってる子がいる訳でもなかった。
担任の先生も優しそうな年配の女教師だ。
私はその教師に渡された名簿をもとに、50音順に名前を読み上げていく。
「相沢君……」
「はーい!」
「伊藤君……」
「はいはい!!」
返事が耳に届くと視線を向けて、顔と名前を確認する。
この学校に半年も居るのだから、少しぐらいは馴染みたい。
……初めての私の生徒。
名前ぐらいは覚えて帰りたいのも本音だ。
「じゃあ続いて、大野君……」
「ふあーい!」
このクラスの男子は元気がいい。
女子は教育実習生に興味はないのか、平然とメイクとかしていたり、隣の席の子と平気でお喋りをしている。
きっとこの学校は、校則があまり厳しくないんだろう……。
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