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いつか、桜さんの事を許して
いつか、月君を愛してしまって
いつか、彼の心が欲しいと悲願してしまうだろう。
でもそれって……ありえないでしょう?
「あなたはキレイ事ばかりだね」
ピーンと張り詰めた糸のように、耳に届いたその言葉。
それは、心のどこかで感じていた気持ちだ。
“私ってキレイ事ばかり”
そう思っていた気持ちを、彼にストレートにぶつけられた。
……返す言葉が、見つからなかった。
「優陽さんは昔からそうやって我慢して生きてきたんでしょ? それが大人の生き方ですか? でもオレは子供だから、“欲しい物は欲しい” って、我慢なんてしたくないんです! 今一番手に入れたいのは、優陽さんあなたなんですよ?」
「ちょっ? やっぁ……!」
……避ける間もなく私の身体は、月君の腕の中……強く包まれていた。
胸が苦しくなるぐらい、息を吸うことを忘れるぐらい、キツく抱き締められる。
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