再会

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水口先生はニコニコしながら振り返ると、私と歩幅を合わせるように歩き出した。 「あの、花柳君の事なんですけど……」 「ああ花柳君。彼、カッコいいでしょ? 沢村先生はお若いんだし、もしかして気になったりしたのかしら?」 「そうじゃないんです! 彼の髪の毛の事です。彼だけあのクラスで金髪じゃないですか? いいんでしょうか? それにカラーコンタクトだってしているし、普通じゃないですよね?」 教育実習生が、こんな事まで口を出していいのだろうか。 そう思ったけど、何かおかしい気がした。 「花柳君はいいのよ。彼はこの学校では特別な存在なの! 特待生だもの……」 水口先生はそう言うと、更に声のトーンを下げて言葉を続けた。 「沢村先生がこの学校に居るのは、半年ぐらいだったかしら? だったら、そんなどうでもいい事に頭を使わないで、少しでも一人前の教師になるために、色々と学んでいったらどうかしら?」 「そうですよね。余計な事を言ってすみませんでした」 私は素直に水口先生に謝った。 ……そうだったわ! 月君の髪の毛が金髪だからって、私にはどうでもいい事じゃない! もう考えるのは止めよう。 「それより沢村先生。ちょっとお願いがあるんだけど、いいかしら?」 そう言った水口先生の足が突然止まった。 だから私も小首を傾げながら、彼女の方に視線を向けた。
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