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「何ですか?」
「確か沢村先生。次の時間から暇でしたわよね?」
「えっ、はい。この後は、さっきの授業の復習でもしようかと思っていたところです」
少し嫌な予感がしたけど、私は笑顔でそう返した。
「……って事は暇なのよね? だったらお願いしてもいいかしら?」
「何をですか?」
「資料室を少し片付けてほしいのよ。他の先生方は授業とかで忙しいじゃない?」
「え? 資料室ですか?」
「そんなに難しい事じゃないのよ? 散らばってる資料とかをファイリングして、個別にまとめるだけなのよ! 次の授業が終われば私も手伝いに行くから……」
「分かりました」
水口先生が一生懸命頼み込んでくるから、私は仕方なく首を縦に傾けた。
それに、ただの教育実習生の私がこの学校で一番暇だからだ。
「資料室の場所は、この廊下を真っ直ぐ行けば分かると思うから。これ、資料室の鍵よ!」
そう言って水口先生は私に資料室の鍵を渡すと、職員室へ戻っていった。
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