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私は氷鉋 聡美(ひがの さとみ)。東京の私立高校に通っている。
昼休み、私は弁当を食べるため、屋上へとやって来た。
屋上には何人かの先客がいた。
「聡美──!」
彼氏の沼沢 拓也(ぬまざわ たくや)が手招きをしている。
私は彼の隣に着き座った。
「待った?」
「いや、今来たとこ」
「そう」
弁当箱を開ける。中身は冷凍食品を解凍したものだった。
私は弁当を食べる。その隣で拓也も食べ始める。
食事を終え、教室へ向かう私たち。
「聡美、明日休みだし、映画でも見に行かない?」
「何見るの?」
「ル○コナはどう?」
「それ見たかったのよ。行くわ」
教室の前に映画を見に行く約束をして別れる。
拓也は隣のクラスに入って行った。
私は教室に入り席へ着く。
授業開始までは後十分くらいあった。
授業始まる前にトイレへ行っておこうか、そう思った私は女子トイレへと向かう。
「うわああああ!」
女子トイレに隣接する男子トイレから男子生徒の悲鳴。
「どうしたの!?」
私は男子トイレに駆け込んだ。
「こ、小島先輩が……!」
私は男子生徒が指差す個室の中を見た。そこには、制服を着た男子生徒が血塗(ちまみ)れで死んでいる姿があった。
死んだのは、小島 孝之(こじま たかゆき)。本校の三年生だ。生前の小島はあまり評判がよくない。
「現場保存よ。貴方、ここを出てくれる? それと先生たちにこのこと伝えて」
「あ、ああ……」
男子生徒はトイレを出て行く。
私は携帯を取り出し、一一〇番通報をした。
警察が到着し、捜査が始まる。
「君、ここは男子トイレじゃないか?」
「そうですね」
「何で女の子なのに男子トイレに?」
「悲鳴が聞こえたから入ったんです」
「ということは、第一発見者ってのは他に?」
「ええ」
「なるほど」
刑事が仲間の刑事に第一発見者を捜すよう指示した。
「それじゃあ君はもう出ていなさい」
「はい」
私は男子トイレを出ると、女子トイレに直行する。我慢していたからだ。
個室で用を足した私は、男子トイレを見る。
入り口は立ち入り禁止の黄色いテープで封鎖されていた。
入ることは出来なさそうなので、諦めて教室へ戻る。
クラスメイトたちは帰りの支度をしていた。
「氷鉋さん、一斉下校だって。理由は分からなかったけど、職員会議でそう決まったらしいよ」
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