0人が本棚に入れています
本棚に追加
「実はね──」
私はクラスメイトの耳元で囁いた。
「え!? 殺人事件!?」
驚くクラスメイト達。
「殺されたのは小島先輩よ」
「あの有名な小島先輩?」
「私、死体見ちゃった。血塗れだったわ」
「そうなんだ。それより、帰ろう?」
「ごめん。拓也と帰る」
「あっそ」
クラスメイトは教室を出て行った。
私は支度をすると、拓也のクラスへ移動した。
「拓也、帰るわよ」
「待って。今、準備する」
拓也の帰り支度を待ち、一緒に下校する。
校門の前にはパトカーが数台止まっている。
「何か遭ったの?」
「学校で殺人が起きたのよ」
「殺人!?」
「小島先輩が殺されたのよ。血塗れだったわ」
「小島先輩が!? 早く犯人見付かるといいね。てか、俺たちで見付けて警察に突き出してやろうぜ?」
「あ、それ面白そう」
交差点に差し掛かる。
「じゃあ、また明日」
「じゃあね」
私は拓也と別れ、自宅へと歩いて行く。
休み明け、私は学校に登校した。
私は例の現場へ行ってみた。
「聡美、おはよう」
拓也が現場から出て来た。
「何か見付かった?」
「警察が全部持ってったみたい」
「そりゃそうでしょうよ。取り敢えず、聞き込みしない?」
「そうだな」
私たちは小島先輩のクラスへ移動した。
「小島の最近の様子? 分からないな。俺、小島とはあまり関わってないからな」
他にも何人かの生徒に話を聞いてみたが、事件に進展は無かった。警察も聞き込みでは何も得られなかったであろうことが窺(うかが)える。
「あ!」
「どうした?」
「教師に聞き込みしない?」
「グッドアイデア! それなら何か得られるかもな」
私たちは職員室へ移動し、小島先輩の担任教師、真鍋 敏男(まなべ としお)に声をかけた。
教師は小島について、素行の悪い不良だ、と述べた。
「小島先輩に何か変わった様子はありませんでしたか?」
「さあな。俺はあいつが死んで清々(せいせい)してるよ」
「そうですか」
何も得られなかった。
私と拓也は職員室を出た。
「どうする?」
「取り敢えず、授業に出ましょう。もう始まるわ」
私たちは教室へ行き席に着いた。
……。
…………。
………………。
放課後、私たちは小島先輩の自宅を訪ねた。
居間に白装束(しろしょうぞく)に身を包んだ小島先輩の遺体が横たわっている。
「孝之のためにありがとうございます」
小島先輩の母親が会釈をする。
最初のコメントを投稿しよう!