氷鉋聡美、最初の事件!

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「実はね──」  私はクラスメイトの耳元で囁いた。 「え!? 殺人事件!?」  驚くクラスメイト達。 「殺されたのは小島先輩よ」 「あの有名な小島先輩?」 「私、死体見ちゃった。血塗れだったわ」 「そうなんだ。それより、帰ろう?」 「ごめん。拓也と帰る」 「あっそ」  クラスメイトは教室を出て行った。  私は支度をすると、拓也のクラスへ移動した。 「拓也、帰るわよ」 「待って。今、準備する」  拓也の帰り支度を待ち、一緒に下校する。  校門の前にはパトカーが数台止まっている。 「何か遭ったの?」 「学校で殺人が起きたのよ」 「殺人!?」 「小島先輩が殺されたのよ。血塗れだったわ」 「小島先輩が!? 早く犯人見付かるといいね。てか、俺たちで見付けて警察に突き出してやろうぜ?」 「あ、それ面白そう」  交差点に差し掛かる。 「じゃあ、また明日」 「じゃあね」  私は拓也と別れ、自宅へと歩いて行く。  休み明け、私は学校に登校した。  私は例の現場へ行ってみた。 「聡美、おはよう」  拓也が現場から出て来た。 「何か見付かった?」 「警察が全部持ってったみたい」 「そりゃそうでしょうよ。取り敢えず、聞き込みしない?」 「そうだな」  私たちは小島先輩のクラスへ移動した。 「小島の最近の様子? 分からないな。俺、小島とはあまり関わってないからな」  他にも何人かの生徒に話を聞いてみたが、事件に進展は無かった。警察も聞き込みでは何も得られなかったであろうことが窺(うかが)える。 「あ!」 「どうした?」 「教師に聞き込みしない?」 「グッドアイデア! それなら何か得られるかもな」  私たちは職員室へ移動し、小島先輩の担任教師、真鍋 敏男(まなべ としお)に声をかけた。  教師は小島について、素行の悪い不良だ、と述べた。 「小島先輩に何か変わった様子はありませんでしたか?」 「さあな。俺はあいつが死んで清々(せいせい)してるよ」 「そうですか」  何も得られなかった。  私と拓也は職員室を出た。 「どうする?」 「取り敢えず、授業に出ましょう。もう始まるわ」  私たちは教室へ行き席に着いた。  ……。  …………。  ………………。  放課後、私たちは小島先輩の自宅を訪ねた。  居間に白装束(しろしょうぞく)に身を包んだ小島先輩の遺体が横たわっている。 「孝之のためにありがとうございます」  小島先輩の母親が会釈をする。
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