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「いえいえ。それで、先輩に何か変わったことは?」
「警察の方にも話したんだけど、あの子の外での様子のことはよく分からないのよ。聞いても何も喋らないしね」
「そうですか……」
「彼に恨みを抱いている人物に心当たりは?」
「そう言えば、あの子が亡くなる前の晩に貴方達くらいの男の子が訪ねてきたわね。その時、あの子はいなかったんだけど、用件を訊いたら帰って行ったわ」
「そのこと、警察には?」
「今思い出したことだから、警察にはまだ」
「そうですか」
「取り敢えず、おばさんはそのこと警察に通報しておいて下さい。では」
私たちは小島先輩の家を後にした。
「怪しいのは、おばさんの話にあったその男の子ね」
「取り敢えず、今日はもう遅いから、また明日な」
「そうね」
私は拓也と別れ、帰路に就いた。
コツコツ、背後から足音が聞こえる。
「誰!?」
振り返ってみると、フードを被った怪しい人物が立っていた。
手元にはナイフ。
狙われている、そう直感した私は一目散に逃げ出した。
怪しい人物が追いかけてくる。
恐らく、事件の犯人に違いない。
「お巡りさん──っ!」
そう叫ぶと、怪しい人物は踵(きびす)を返して逃げていった。
警告かしら。燃えるわね。
その日の朝、私の携帯に電話がかかって来た。
「もしもし?」
「もしもし? 私、警視庁捜査一課の杉山と申しますが、沼沢 拓也さんの件でお電話させていただきました」
「拓也? 拓也がどうしたんですか?」
「実はですね……大変申し上げにくいのですが、沼沢さんがお亡くなりになったんです」
「え?」
「ですから、貴方の恋人である拓也さんが、何者かにナイフで刺し殺されたんです。つきましては、身元確認をお願いしたいので、これから警視庁の方へおいでいただきたいのですが、お時間は大丈夫でしょうか?」
「……分かりました。これからお伺いします」
私は着替えを済ませると、警視庁へ向かった。
拓也の身に何が?
警視庁に着き、霊安室を杉山という刑事と共に訪れた。
台の上に拓也が横たわっていた。
「拓也!」
だが拓也は何も答えないし目も開けない。
拓也は杉山刑事の言う通り死んでいるのだ。
私は事情聴取のため、取調室に入った。
「遺体の側に血文字でこんなものが書かれていました」
刑事が見せた写真に、1040という数字が血で書かれていた。
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