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「拓也は殺されました」
「ほう。誰に?」
「小島先輩を殺害した犯人にね」
「そうか。沼沢も刺し殺されるなんて災難だな」
「刺し殺される……なぜ知ってるんです?」
「そ、それは昨晩のニュースで……」
「なるほど」
「それより、小島と沼沢を殺したのは誰なんだ?」
「昨日、私は警察で事情聴取で現場の写真を見せられました。そこには、血文字で『1040』と書いてありました。当初、私はそれが何なのか、分かりかねてましたが、今日になってその意味が分かりました。この数字は、ダイイングメッセージで犯人の名前を記してあったんです」
「で、その犯人は?」
「それは貴方ですよ、真鍋 敏男先生!」
「はっ、ハハハハ! これは傑作だ! 俺が殺したって言う証拠はあるのか?」
しまった。証拠がない!
だがその時。
「証拠ならありますよ、真鍋さん」
杉山刑事が現れた。その手には袋に入ったナイフを持っていた。
「これは沼沢 拓也が殺害された時に現場に残っていたものなんですが、このナイフから貴方の指紋が検出されました。これについて、ご説明願えますか?」
「くっ……」
真鍋はその場に崩れた。
「真鍋先生、どうして小島先輩を殺したりなんか?」
「あいつは、俺の妹を薬物で自殺に追い込んだんだ。薬物と言っても、脱法ハーブだがね」
「どうしてそれを警察に相談しなかったんですか?」
「相談したさ。だけど、警察は自殺で処理したじゃないですか! 警察は一度自殺で処理したことは再捜査はしないから、だから、だから……!」
「詳しい話は署の方でしてもらいます。では」
杉山刑事が真鍋に手錠をかけた。
「氷鉋さん、ご協力ありがとうございます。しかし、あれですね。あの意味不明な数字を解読してしまうなんて。では」
杉山刑事は真鍋を警視庁へ連行して行った。
私は学校を早退し、拓也の家を訪ねて、仏壇に線香をあげるのだった。
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