第一話『戦友との再会』

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 一つ前の町で請け負っていたこの村へ届けてほしいという物資を、受付で笑顔を浮かべている女性に二人の狩猟の証と共に提示する。カードと物資、それから以来一覧を見比べてから彼女は営業スマイルで仕事の完了を確認し、報酬であるお金と、それから二人のギルドランクが上がったことを教えてくれた。 「やったね兄さん」 「そうだね。路銀は入ったばかりだし、そんなに急ぐこともないけど……Cランクの仕事にどんなものがあるか見てみようか」 「うん。あ、でも危険なものは駄目だよ?」 「わかってる。ノエルを危険な目に遭わせたくないからね」 「わたしも」  仲良く微笑み合いながら張り紙を見上げる男達の傍へと行き、どんなものがあるのだろうと一緒になる。やはりCランク以上のものは隕獣の討伐が主だった。これまでは物資の調達や届けるだけ、などと比較的楽なものが多かったが、どこそこに発生した隕獣の群れの討伐だの、名付きの討伐などと物騒なものばかりだ。  危ないものばかりだなあとクリスが内心呟いていると、ノエルが小首を傾げて自問自答をするように言葉を紡ぐ。 「この近くに遺跡があるんだ」 「遺跡?」 「うん、これ」  そう言って彼女が指をさした一枚の張り紙には、ハルベ遺跡の奥に咲く花を摘んできてほしいという仕事が書かれていた。ランクはCで、報酬は四万ジェム。相当な額だ。ただの採集というわけではないのだろう、でなければランクと報酬がこんなにも高いわけがない。 「ん? おまえさん達その仕事を受けるのかい?」  となりでDランクの紙を睨みつけていた男性が二人に話しかけた。 「いえ、ただ見ていただけですが……」 「そうか。いやな、青の賞金稼ぎがもうそれを請け負ったって仕事仲間から聞いたから、あまり勧めないよと言おうとしたんだが……余計なお世話だったか」  こりゃ失敬、と軽く笑う男性にクリスはわざわざ教えてもらったことに礼を言い、それから気になった言葉を尋ねた。 「ところで、青の賞金稼ぎというのは?」 「おや、おまえさんら知らないのかい? 今ギルドに関係する話題では上位に入るほど有名だよ」  クリスとノエルは互いに視線を交錯させ、それから一緒に首を傾げる。
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