~第二章 ホウプ~

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「良いですか?ホウプ様。リグーン国に住んでいるのは、人間と妖精の間に生まれた人々。タート国には、人間と魔族の間に生まれた人々が住んでいるのです。つまり、ジュエル・ツリーが世界を分けた時、彼らの先祖は、家族までが別々の世界でバラバラに生きることになってしまったのです。」 白髪の老人が、少年に星の歴史を教えていた。老人は、年のわりには背筋がピンと伸びていて若く見える。Yシャツに黒のベスト、黒ズボンでビシッとしていた。白い丸い眼鏡が下がるのを持ち上げながら、再び少年に話しかける。 「ホウプ様?聞いておりますかな?」 ホウプと呼ばれた少年は、分厚い本を広げ、一生懸命読み返しながら、ノートに重要と思う部分を書き写していた。 ここは、人間界の中心の国、キャズ国の城である。シンボルである、あの世界を分けた大きなジュエル・ツリーが、城の中心にそびえ立ち、城壁や城の建物自体が、ジュエル・ツリーを囲むように建てられていた。王族以外が簡単に木に近付けないようになっているのだ。
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