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「楓ー俺のユニ取って来てー」
「は、はい!」
中宮先輩の声で部室にユニフォームを取りに行った僕は、戻って来た時に聞こえる先輩達の話し声に足を止める。
「海はいっつも御堂パシってるよなー嫌いなの?」
確かに中宮先輩は他の一年生を名前で呼んだりパシったりしないのに、やけに僕にだけ絡んで来た。
別に先輩が好きという訳でもないが、人に嫌われるのはやはり傷付くものだ。
そんな事を思いながら声をかけようとすると、次に中宮先輩が発した言葉に息を飲んだ。
「まさか、気に入ってるからだよ。
俺、楓が女だったら超直球ど真ん中ストライク。」
「確かにいい顔してるよなー」
ワイワイと話しを続けながら進んでいく先輩の後ろ姿を呆然と見る。
今、なんて言った?
先輩が僕の事を気に入ってる?
直球ど真ん中ストライク?
混乱する中で、中宮先輩の声が耳に残って離れなかった。
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