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家に帰っても、頭に浮かぶのは先輩の悲しみで染まった顔。
ため息をつきベッドに寝っころがる。
リリリリリ。
意識が落ちかけた時、携帯の着信音が鳴った。
朦朧とした思考で名前も見ずに通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「…中宮だけど。」
「えっ!!」
いきなり覚醒する意識。
驚きすぎて叫んでしまう。
「いきなりごめん、迷惑だった?」
「いえ、大丈夫です。どうかしましたか?」
内心では焦りまくっているが、冷静を装う。
顔が見えてなくて良かった。
「俺、誰かに話し聞いて欲しくてさ。
でもクラスの奴らよりもお前の方が、俺の気持ち分かってくれる様な気がして…」
先輩の中でも僕が確かに存在していることが
、頼ってもらえたことが嬉しかった。
「僕で良ければいくらでも聞きますよ。」
「…ありがとうっ。」
絞り出す様な声に、先輩が微かに泣いているのが分かった。
なにも言えずに、向こうから話し出すのを待つ。
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