プロローグ

2/2
前へ
/43ページ
次へ
青年は、白き部屋にて、己の記憶を振り返る。 今はまだ、この白と黒の部屋の中に閉じ込められているが、最初からこうだったわけではない。 解放されたい。 そう願うのは、いつもの日課。虚しく散る願い。 どこかの《世界》にヒントがあったはずなのだ。 この部屋と、異なる世界の中で過ごした年月は、人間の寿命を遥かに超えた。 再び《世界》へと赴いてみよう。 何かしらのヒントが得られるかもしれない。 青年は、意を決して立ち上がり、行きたいと思う《世界》を選んだ。 かつて消した記憶を引き上げる相手を決め、白いドアに手をかけた。 行き先は──── 「六軒島。薔薇庭園」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加