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激しく降る雨。
辺りの木々を横倒しにしそうなほどの強風。
そんな中でも、庭園の薔薇たちは美しく咲き誇っていた。
「......今日は、何日目だ?」
1人で呟いてみたものの、返事は無い。
まぁ、当然か。
この庭園の薔薇たちは、いつ来ても美しい。
できることなら、天気のいい時に着けばよかったのに。
「おい!そこにいるのは誰だ!?」
「......」
はぁ......。もう少しくらい愛でさせてもらいたかったな......。
背後から呼び止められ、体半分だけ振り返る。
少し離れた場所から走って来る人物の姿が見えた。
暗くて分かり難いが、シルエットからしておそらく男。
前回のパターンからして、銃を持っているはずだ。
仕方無しに両手を上げ、敵意が無いことを示す。
「ハァ......ハァッ。本っ当に、19人目がいるとはな。......っおい、お前。大人しく、着いて...来い」
「......」
抵抗はしない。
むしろ、相手の息が整うのを待つくらいだ。
「......大丈夫か?」
「...さっさと歩け」
「ハイハイ」
雨の中、男2人で薔薇庭園を歩く。
ピリピリした空気が続くのは、なんか嫌だな。
早く辿り着いてほしいとは思ったが、いざ実際に目の前にしてみると、足が自然に止まってしまった。
懐かしさが、一瞬で溢れる。
「何してんだ。早く入れ」
「ああ......」
中に入ると、また一段と懐かしさが溢れてきた。
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