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霧島が来店してから早30分が経過。 ホールに出る度にあいつの様子が気になる俺に対して、俺の気配を気にも止めずにひたすらハンディビデオカメラと向き合うあいつ。 ……俺が仕事してるところを見たいっつってたのに、見てねぇし。 いや、あんまり見られても、緊張するし困るけど。 結局どっちなんだ!?という答弁を自分の中で繰り広げて、またあいつに向かう視線。 おそらくこの土日に行われた試合の録画を見ているであろうあいつ。 時折コーラを口に含みながらも、液晶モニターを見つめる瞳は真剣そのもので。 あいつのバスケに対するストイックさが窺える。 と同時に、俺の内側に生まれてくる寂しさ。 あいつが試合で活躍する度に、メディアに取り上げられる度に、自分との距離がどんどん開いていくみたいで。 はっきり言って、焦る。 大学の頃も、既にあいつは有名人だったけど、俺の中に今ほどの焦燥感はなかった。 それはきっと、俺もあいつと同じW大という名誉あるフィールドに立ってるという自信があったから。 けど今は……。 視線を落としていった先に映り込んでくるのは、客席から回収し終えた汚れた食器の積み重なった丸トレー。
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