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っ、あー、やばい……。
すげぇキスしたい。
……てか、触りてぇ。
あいつの瞳に吸い寄せられるように、大きく意識が動こうとして。
一気に溢れ返る衝動。
――――けど。
僅かに残った理性が、その願望を踏み止まらせる。
……俺、昨日から風呂入ってねぇし。
こんな汚い体で、霧島に触れねぇ!!
昨晩三次会で飲み潰れて、今朝思いっきり寝坊したことが、今になって死ぬほど悔やまれる。
チラッと掛け時計を確認すると、時刻は午後10時半。
短時間でシャワー浴びて出てくれば、まだ間に合う?
こいつ、それまで起きてるかな?
うだうだ悩んでる時間さえもったいないので、さっと立ち上がりあいつに言い放つ。
「お、俺!!風呂入ってくる!!」
突如飛び出した俺の風呂宣言に、驚いたように眉を上げるあいつ。
あー、ちょっと不自然に張り切りすぎた?
自分の行動に若干の恥ずかしさを覚えながら、それを紛らわせるように卓上の食べ終えた食器に手をかけると、すっと横から伸びてくる、あいつの長い腕。
「いいよ、皿。片しとくから。入ってこいよ、風呂。……ごゆっくり。」
振り返ると、クスクスと喉を震わすあいつの顔があって、俺がしたがってんのバレてんのかな……と、より一層恥ずかしくなる。
「あ……りがと。」
ぼそっと小さく礼を言って、早足で風呂場に向かう。
っつーか、ごゆっくりどころかお前が皿洗い終える前に即行で出てくるし!!
お前こそゆっくり皿洗って待ってろ!!
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