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のそのそと近づいて、両方の足を正ポジションに戻してやると、ふわりとその体に掛布団を被せる。
あいつを跨いで、ベッドの空きスペースに同じように横になると、くるっと体ごと回して向き合った。
真横から見える、あいつの長い睫毛。
規則的に上下する胸が、熟睡していることを示していた。
「……霧島。」
囁くように小さく呼び掛ける。
応答のないあいつの毛束を少し掬い上げると、指の隙間からさらさらと落ちていって。
もっと近づきたい衝動から、自らの顔をその金髪に埋めると、あいつの匂いが俺を包み込んでくる。
一人で熱くなる体。
けど、あいつが疲れてるってわかるから、どうすることもできなくて。
起こさないようにその体にそっと腕を回すと、自分の体を寄せていく。
伝わる温もり、その柔らかさに……また一人で焦れる。
今日、あいつが職場に来てくれて、すげー嬉しかった。
俺が終わるまでずっと待っててくれて、その優しさに満たされたはずなのに。
今は俺を待ってる時間、少しでもいいから家で休んでくれていたら。
あいつがこうやって寝落ちることもなく、俺と抱き合えていたのかも……とか、身勝手なことばかりが頭を過って……。
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