5 years later

36/114
前へ
/1072ページ
次へ
予定立てたスケジュールがひとまず完了して、ほっと一息つく。 時計を確認すると出勤の1時間前。 ……うん、我ながら結構かかったな。 まぁでも布団干したり掃除機かけたりもしちゃったし? 自分の作業の遅さをほんの数分で片付く追加の家事のせいにして、干したての布団の上に勢いよくダイブする。 布団から香る太陽の匂いを鼻に吸い込んで、ごろんと返ると白い天井。 ……あいつ、喜ぶかな? ふかふかの布団で眠るあいつを想像しながら、サイドテーブルのスマホに手を伸ばす。 ここで同棲し始めてから、めっきり減った霧島とのメールのやり取り。 就職してからは電話さえ、皆無に等しい。 いいんだけどさ。 一緒に住んでるし。 空いた時間にものを言わせて、徐に着信履歴を送っていく。 もともと連絡を取り合うような仲のいい友達の少ない俺。 液晶画面に映し出される名前は、親とミツと……そして残すところ後一名。 ちらりともう一度現時刻を確認して、発信ボタンをタップする。 ププッププッと反応を示す接続音の後、呼び出し音が繰り返されていく。 数回そのコール音を聞き流したところで、やっと受話器の向こう側に現れる人物。 『……なんや?お前、今日仕事休みか?』 変わらない調子の関西弁に、頬が緩む。 「いや、もう少ししたら出る。今、ちょっと暇だから。」 『あんなぁ。暇潰しに俺使うなや!こっちは忙しいっちゅーねん!!』
/1072ページ

最初のコメントを投稿しよう!

516人が本棚に入れています
本棚に追加