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予定立てたスケジュールがひとまず完了して、ほっと一息つく。
時計を確認すると出勤の1時間前。
……うん、我ながら結構かかったな。
まぁでも布団干したり掃除機かけたりもしちゃったし?
自分の作業の遅さをほんの数分で片付く追加の家事のせいにして、干したての布団の上に勢いよくダイブする。
布団から香る太陽の匂いを鼻に吸い込んで、ごろんと返ると白い天井。
……あいつ、喜ぶかな?
ふかふかの布団で眠るあいつを想像しながら、サイドテーブルのスマホに手を伸ばす。
ここで同棲し始めてから、めっきり減った霧島とのメールのやり取り。
就職してからは電話さえ、皆無に等しい。
いいんだけどさ。
一緒に住んでるし。
空いた時間にものを言わせて、徐に着信履歴を送っていく。
もともと連絡を取り合うような仲のいい友達の少ない俺。
液晶画面に映し出される名前は、親とミツと……そして残すところ後一名。
ちらりともう一度現時刻を確認して、発信ボタンをタップする。
ププッププッと反応を示す接続音の後、呼び出し音が繰り返されていく。
数回そのコール音を聞き流したところで、やっと受話器の向こう側に現れる人物。
『……なんや?お前、今日仕事休みか?』
変わらない調子の関西弁に、頬が緩む。
「いや、もう少ししたら出る。今、ちょっと暇だから。」
『あんなぁ。暇潰しに俺使うなや!こっちは忙しいっちゅーねん!!』
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