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電話口で文句を溢す遼を耳に感じながら、もう少し遊ぶ。
「院生なんだから暇だろ?いい身分だよな。最低あと2年は働かなくていーんだからさ。」
大学を卒業した後、同じ大学の大学院へ進んだ遼は、2年間の修士課程をストレートで修了し、現在博士課程をのうのうと修学中である。
『アホか!!論文書かなあかんし、教授の手伝いはあるし、この土日もゼミで潰れたしで寝不足続いとるわ!!』
立て続けに非難してくる遼の口振りから、げんなりしている様子がまざまざと伝わってきて、苦笑が漏れる。
「けど、俺の電話、お前いつも出るし……」
これまでの遼の素行を思い出して、口を尖らせながらつらつらと自分の言い分を主張していると、はーっとスピーカーから流れてくる盛大な溜め息。
『おーまーえーなぁ……。いっつもいっつもしょんぼりしてかけて来られたら、出んわけにいかんやろ?』
「っ、しょ……!?」
しょんぼりなんかしてねーし!!
俺が毎回落ち込んでるような言い方をされて、言葉に詰まった矢先にさらに返しにくい質問で攻めてくる。
『……で?今日はなんやねん?また彼女に放ったらかしにされてんのか?』
「!!」
いきなり図星を突かれて、思わず目を剥く。
……って別に!放ったらかされてるわけじゃねーし!!
お互いの時間が合わないだけだし!!
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