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部屋に入るとゆいはまだ布団の中にいた。
「…ゆい。」
予想外な俺の声に、ゆいが布団から慌てて上半身を起こす。
「…寝てていいぞ。」
「…部長?…なんで……え?…美咲は?」
混乱するのも無理はない。
「…具合は大丈夫か?」
俺ができるだけ優しく言うと頷きながらはいと答えた。
俺は夕べ藤森と合流したいきさつをゆいに話した。
「…じゃあ、美咲が来たとき…一緒にいたんですか?」
「…ああ。」
「…そうですか…。」
ゆいは一瞬驚いて、すぐに目を伏せた。
でも、次の瞬間、何かを決意したように俺に視線を向けた。
「…秀一さん。…私。五月の連休、事務所で成瀬さんに……。」
俺はたまらずゆいにキスした。
…ゆいの唇は小さく震えていた。
「…もう、いいんだよ。藤森に聞いた。成瀬が言ってることとは違う。もう、わかったから。」
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