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カサッ……
「っ!!」
おっ、早速か!
少し先の方から、微かに草の揺れる音がした。
風が強ければ、到底聞こえない程に微弱な音だ。
その音を聞いた俺は、咄嗟に身を屈めて息を殺した。
ここの草は、地を這えばギリギリ身を隠せる長さはあるが、流石にそれでこのコートを汚すのは忍びない。
フラビットは兎のような形容をしている割りに、耳が悪い。
そのため、背後から近づいて奇襲というのが、フラビット狩りの基本だ。
慎重に、そして素早く。
振り向かれたら気がつかれてしまう。
「よし…………」
【氷球】の射程範囲内だ。
凄い人なら数km飛ばせるらしいけど、今の俺はせいぜい10m。
俺はフラビットから7m程離れた場所で立ち止まり、右手に氷の球を作り始めた。
──撃てる体勢に入ったところで、改めてフラビットの位置を確認。
……うん、そうだな。
兎の可愛さを取り除いて、代わりに筋肉を付け加えた感じだ。
凄く厳つい体つきをしてる。
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