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「ふぅ……」
緊張を解すためゆっくりと息を吐く。
これを一発で命中させないと、かなり面倒なことになる。
外してしまえば、こちらに気付かれて逃げられてしまうからだ。
とは言え、まだ俺の【氷球】の精度は荒い。
一発で命中することはあまり無い。
更に、草に隠れてはっきりとは見えないため、狙いが定まりにくい。
かと言って近付き過ぎると、やはり気付かれてしまう。
だから、いつも兎との追いかけっこを強いられる。
「頼む……当たってくれ!」
手の上の氷の球は、俺の願いを乗せて俺の手から放たれた。
──バンッ
よっしゃ、手応えありぃ!!
急いで駆け寄って確認してみると、狙い通りフラビットの下半身が凍りついていた。
この【氷球】には、着弾点からの一定の範囲を氷で覆う性質がある。
……そうでもなかったら、ただの氷だしな。
まぁ、兎の下半身程度しか覆えないのだから、性能は察してくれ。
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