第6話 輪島浩二編③

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 俺は【1.手】を選んだ。 【アンケートは以上です。それでは、あなたの行動をサンプルとしてデータに取らせて頂きます。ご協力よろしくお願いいたします】  俺はサイトの画面を閉じ、携帯をポケットに突っ込んだ。  詩織。  なあ、消えたはずの指が復活したんだ。  だからお前も、どうか生き返って。  俺、もう、逃げねえよ。  俺は建物の中へ入った。ナースステーションに行き、窓口の若い女性に問いかける。 「あの、東詩織(あずま しおり)の病室はどこですか?」 「失礼ですが、東さんのご家族の方ですか?」 「いえ……でも、俺」  詩織の彼氏です、と言おうとしたそのとき、怪訝そうな表情を浮かべた窓口の女性の後方で話声が聞こえた。女性の看護師が、焦った様子で他の看護師に言った。 「707号室の東さん、今、目覚ましたって」 「え!? 早朝に亡くなられたはずじゃ」 「とにかく、いろいろ手続き変更しなきゃ……」
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