第6話 輪島浩二編③

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 窓口の女性も、驚いたように後方を見ている。その隙に俺はエレベーターに向かって歩き出す。  目指すは707号室。  エレベーターのボタンを押そうとしたとき、指が動かなくなっていることに気付いた。  手が、動かない。  でも腕は動く。  俺は右の肘を使ってボタンを押し、エレベーターに乗り込んだ。  詩織、詩織、詩織。  言葉だけじゃ信じられない。  お前の顔を見るまでは、まだ。  エレベーターが7階で止まる。扉が開くと同時に飛び出し、707号室を探した。  医者や看護師がバタバタ入っていく部屋が見えた。  あそこか!?  707号室の引き戸は開いている。 「詩織!!」
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