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◇◇◇◇◇◇◇
抱き合っている俺と詩織にストップをかけたのは医者だった。
さらに、どう見ても般若にしか見えない詩織の父親と、呆れて笑っている詩織の母親を見て、俺は我に返った。
「申し訳ありませんでしたあ!!」
他にどうしたらいいのか思いつかなかったから、俺は詩織の父親に向かって土下座した。
父親は俺のことを一発蹴った。
「お父さん」と、詩織の母親がたしなめた。俺が詩織の父親を見上げると、父親はぶすっとした表情のまま、
「次に泣かしたら殺すからな」
と言った。
「ほんまは今すぐ殺したいくらいじゃけど、これ以上詩織を泣かせとうない。娘を不幸にしたら、次はほんまに無いと思っとけよ」
俺は立ち上がり、詩織の両親に向かって頭を下げた。
そして、今日のところはこれで帰ることにした。
……て、そうだ。
帰るところなんてない。詩織の部屋は燃えてしまったし、セイタは……。
そうだ、セイタに連絡してやらないと。
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