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病院を出たところで、俺は携帯を取り出そうとした。しかし手が使えない。
仕方なく、俺は直接セイタの家まで行って伝えることにした。
切符を買うのも一苦労だ。いちいち駅員に伝えなければならない。
……これから一生、このままか。
そういやあ俺、エッチもできないぞ。
詩織のこと支えるって言ったけど、それは嘘じゃないけど、こんな俺で本当にいいのだろうか。
手が使えない分、家事もろくに手伝ってやれないどころかいろいろ助けてもらうことになるだろうし、子どもが欲しいって言われても応えてやれない。
セイタのアパートに辿り着くと、インターフォンを鳴らしてみた。しばらくして部屋のドアが開いた。
ぶっすりと不機嫌そうな顔をしているものの、セイタは一言、「入れ」と言ってくれた。
俺は部屋の中に入り、ベッドにどかりと座り込んだセイタに、詩織の目が覚めたことを伝えようとした。
「詩織、良かったな」
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