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「……え?」
「さっき、詩織からメールがきた。迷惑かけてごめんって」
……そうだったのか。
「でもな、助かったけえエエなんて、俺は思っとらん。お前は、一生かけて詩織に償え。そんで一生かけて俺にも償え」
セイタの声が俺を責める。
何と言い返そうか迷っている俺を見上げて、それまで不愉快そうに歪ませていた唇の端を上げた。
「歌え、コウジ。もうな、終わりじゃ。苦しいのは終わりじゃ。これからは、詩織のことも俺のことも安心させてくれえや」
……セイタ。
俺はその場にへたりこんだ。
「……俺な、また、手ぇ使えんくなった」
「……え?」
「今度は両手が効(き)かんくなった。それにな、それに……俺、もう、エッチもできんのじゃ。詩織のこと抱いてやれん。……もうな、俺にできることは歌しかないんじゃ。それでもええんか?」
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