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ふいに携帯が鳴った。
画面に表示されている発信主は。
「……もしもし」
『コウちゃん、お疲れ~。今日、会わへん? 別にエッチなしでかまへんから』
呑気なミルクの声が、俺をいら立たせる。
「会わん」
『なんで? 用事あるん?』
「ああ」
『……あっそ。ま、ええわ。アンケート、どんな? 今、何回目までいった?』
……アンケート。
ああ、そうだ、アンケートだ。
詩織の部屋を燃やした。
そうだ、部屋がなくなったんだ。
それなのに詩織をひとりにして、俺は、逃げた。
……どうして。
俺、いつからこんなに、自分のことしか見えなくなった?
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