第6話 輪島浩二編③

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 ふいに携帯が鳴った。  画面に表示されている発信主は。 「……もしもし」 『コウちゃん、お疲れ~。今日、会わへん? 別にエッチなしでかまへんから』  呑気なミルクの声が、俺をいら立たせる。 「会わん」 『なんで? 用事あるん?』 「ああ」 『……あっそ。ま、ええわ。アンケート、どんな? 今、何回目までいった?』  ……アンケート。  ああ、そうだ、アンケートだ。  詩織の部屋を燃やした。  そうだ、部屋がなくなったんだ。  それなのに詩織をひとりにして、俺は、逃げた。  ……どうして。  俺、いつからこんなに、自分のことしか見えなくなった?
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