第6話 輪島浩二編③

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『コウちゃん、聞いてる?』 「……ああ」 『なんや、えらい暗いな。ラッキーチャンス、欲しいものくれたやろ。コウちゃん、手ぇ治ったんやろ?』 「……」 『ウチ言うたやん。ウチやったら、コウちゃんの左手治せるかもしれへんって』 「……ミルク?」 『ふふっ、コウちゃん、ウチから連絡すんの、これで最後な。やから本当は会いたかってんけど、あきらめるわ』 「最後って」 『コウちゃん、アンケートは絶対に途中でやめたらあかんよ。……応援しとるで』 「ミルク」 『バイバイ』  最後まで、明るい声だった。  これで、俺のまわりから女はひとりもいなくなった。  これでいい。  あとは、セイタの気が済むまで殴られたらいい。  また、左手の中で携帯が鳴った。  今度はメールだ。  ……セイタから。
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