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『コウちゃん、聞いてる?』
「……ああ」
『なんや、えらい暗いな。ラッキーチャンス、欲しいものくれたやろ。コウちゃん、手ぇ治ったんやろ?』
「……」
『ウチ言うたやん。ウチやったら、コウちゃんの左手治せるかもしれへんって』
「……ミルク?」
『ふふっ、コウちゃん、ウチから連絡すんの、これで最後な。やから本当は会いたかってんけど、あきらめるわ』
「最後って」
『コウちゃん、アンケートは絶対に途中でやめたらあかんよ。……応援しとるで』
「ミルク」
『バイバイ』
最後まで、明るい声だった。
これで、俺のまわりから女はひとりもいなくなった。
これでいい。
あとは、セイタの気が済むまで殴られたらいい。
また、左手の中で携帯が鳴った。
今度はメールだ。
……セイタから。
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