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【大学病院まで来い】
病院?
胸がざわついた。
俺はまだ濡れているデニムをもぎ取り、脚を突っ込んだ。黒いダウンジャケットを持って、なんとか戸締りをしてA駅に向かって走った。
大学病院といったら、N駅の近くだ。事故に遭ったとき、世話になった場所だ。
なぜ、そこに来いなんて言うんだ?
電車は座席が空いていた。けれど、座る気になれなかった。
N駅から病院まで走った。
不思議と身体は軽い。だが、口のなかはカラカラに乾いている。息切れをしながら、白い壁の建物を目指した。
セイタは病院のエントランスの前に立っていた。
俺を見つけるなり、ズカズカ近付いてきて、問答無用で一発頬を殴ってきた。
痛くはなかった。衝撃が走っただけ。
倒れないように両脚で踏ん張って、目を真っ赤にしているセイタを見た。
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