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「もう、いいんだ……皆。わしはここまでだ…」
アッセル自身、もう助からない事を悟っていた。
次第に出血が酷くなる中、彼は渾身の力で口を開く。
「お前たち、この街のことは……まかせた……」
アッセルの言葉に他の者たちは悲涙を流しながら、頷く。
嗚咽が止まらない者もいる。
「俺の子供たちもちゃんと大きくなるんだぞ……」
施設の子供たちは顔をくしゃくしゃにしながら大きく頷く。
「はぁ……はぁ……!!!!シヴァ、レアー、パイソン。お前たちにはわしの最後のお願いがあ……る」
息が荒々しくなるアッセルはさらに声音を強くする。
3人はそれを静かに聞き入る。
「この……世界を……変える救世主に……なってくれ……わしは、あの世で……見とる。……頼む………………!!!!!!」
彼らは普段から、平和と言う願いを強く持ち続けていた。
彼らの瞳の奥に存在する熱い想いを感じていた。
“それ故の懇願である”
「……!!じいさん、じいさんっ!!!!!!!!」
“アッセルの心臓は、活動を停止した。”
もう、死んでいた。
「ぐぁあああああ!!!!あああああ!!!!」
皆は大粒の涙を流しながら、叫んだ。
悲しい声音が空に響いた。
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