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「チッ……小賢しいマネを……。だが、この私から逃げられると……」
言いかけたその時、魔人の頭に、ごん、と、何かが当たった。
石の破片が、どこからか降ってきたらしい。
何事かと、頭を押さえながら見上げた魔人は、息を飲んだ。
「なっ、なに……!?」
ようやく状況を察した魔人の上に、天井が崩れ落ちてくる。
リュシエルの暴走と、魔人復活時の衝撃で、迷宮はもはや崩壊寸前だったのだ。
そこにきて、さっきの炎の壁と突風がダメ押しとなった。
「そんな、バカなあっ!」
哀れな魔人の悲痛な叫びが瓦礫の中に飲み込まれていった。
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