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リュシエルがリックの肩に手を置き、答える。
「勇者っていうのはね、なんとか助かるような運命になってるのよ、多分」
「それ、つまり、運任せってコトじゃ……」
一瞬、妙な間が開いた。
「……さあ、オリハルコンは手に入れたわ。行きましょう」
リックの言葉は聞かなかった事にして、リュシエルは話を切り上げ、歩き出す。
「危険手当も上乗せで請求しようぜ」
と、アークも知らぬ顔を通す気だ。
『だ、大丈夫よ、リック。……勇者なんだから』
唯一、励まそうとするサラだったが、結局はそのネタにすがるしかなかったようである。
リックの苦難はまだまだ続きそうだ。
だが、それはまた、別のお話というやつである。
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