52人が本棚に入れています
本棚に追加
「……という訳で、シルン村の〈森の名水〉を取って来て欲しいんだよね」
自慢の美少年顔に笑顔を浮かべ、依頼主ハルファスはそう言った。
「はぁ。ナニが『という訳』なのか、わからないんだけど……」
対する勇者(見習い)リックは、困ったように頭を掻いた。
「美味しい紅茶は、まず美味しい水から。コレ、常識ね」
言いながら、いかにも高そうなティーカップを口に運ぶ。
「だから、なんであたしたちが行くのよ?」
不満げに声を上げたのは、リュシエルだった。
「あたしたちは依頼を受けに来たんじゃなくて、報告に来たの」
そう、彼らはたった今、ハルファスにオリハルコンを届け、報酬を受け取ったばかりなのである。
最初のコメントを投稿しよう!