ラストファイル3:伝家の宝刀

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『そろそろ君から、電話がかかってくる頃だと思っていたんだ。それで、試験を受ける気になっただろう?』  銀縁メガネを上げながら、確信めいた事を口にする。 「そんなのポーズでも、受ける気になりません。しかもピュアな翼(と読者様)に、嘘をついて騙すなんて酷いですよ!」  俺が怒っているのに、どこまでも涼しい顔をキープする。 『嘘は言ってない。水野君の知能指数が高いのは、事実だからな。ただ高すぎて周りに目が行くばかりに、集中できず失敗しているだけだから』  そんなの高くても、実際フォローになってないし。てか翼、ちょっと笑いすぎじゃないか!?  俺に背を向けて、肩をヒクヒクさせている。 『試験を受けるという情報があった方が、向こうさんも油断すると思ったんだ。だがその前に、すべての準備が整ってしまったよ』 「本当ですか?」 『ああ、まるでこの日に合わせたみたいだな。水野君のスマホに、最新情報を転送しておく。それ持って、これから行くだろ?』  その言葉に、大きく頷いた。 「はい! 翼とふたりで、向かおうと思います」 『分かった。ふたり分のアポを取っておくよ。けして無茶をするな。引くことも、戦術の内のひとつだから』 「有り難うございます。みんなが調べてくれた物を無駄にしないよう、頑張りますね」  俺はガッツポーズを決めて、スマホを切った。 「マサ、お前何をやろうとしてんだよ? 関さんが絡んでるトコ見ると、ヤバいヤマって感じがするんだけど」  顔を激しく引きつらせながら、じっと俺を見る。その視線に応えるように、ふわっと微笑んだ。 「翼には、証人になって欲しいんだ。これから俺が行うことの証人になって、傍で見ていて欲しい」 「それだけでいいのかよ。俺にも、出来ることはないのか?」
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