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男女間の友情は成立するか?
そう聞かれて、成立する。と答える人と、成立しない。と答える人は、
どちらが多いんだろうか?
人にもよるし、
その相手にもよる訳で。
「……また、居る」
とりあえず、俺とコイツの間に成立しているのは、多分、友情で。
「おかえり」
「……お前、自分の家がどこだか解ってるよな?」
「解ってる。解ってる」
そこに、愛情は無いと思う。
多分、だけど。
「俺のプライバシーはどうなってんだよ?」
「合鍵くれたの、キミでしょ?」
にっこり笑顔の友人に、深い深いため息。
その小さな手の細い指でクルクルと回しているのは、間違いなく、この部屋の鍵。
奪い取られた訳でも、勝手に作られた訳でもない、確かに俺が渡した、この部屋の合鍵。
「だからって、週に何回来てんだよ?お前っ」
「いいじゃん。今、彼女居ないでしょ?」
「……いっそ、お前の所為じゃねぇの?俺に彼女出来ねぇの」
「キミの問題でしょ?私、関係ない。ソレ」
中学からの付き合い。
一度だって、間違いなんて起こさずに純粋な友情を築いてきた、オンナノコ。
「そもそもなぁ。お前だって、一応はそれなりの年齢のオンナなんだから、こうもオトコの部屋に入り浸るってどうよ?」
「へぇ?キミ、私に何かすんの?」
「しねぇよ!」
つぅか、仕事から疲れて帰って来たのに、これ以上、ヒトの体力奪うなよ。
「あ、ご飯出来てるけど、食べる?」
「…………、食う」
まぁ。
仕事から帰って来た部屋に、電気が点いていて、温かくて、ご飯出来てて、風呂も沸いてる。ってのは有り難いんだけど、さ。
だからと言って、何だ?この半同居状態。
いつからだ?
コイツ、いつから、こんなに俺ん家に入り浸り始めた??
「キミ?とりあえず、着替えてきたら」
「おー」
……合鍵渡してから、か?
いや。
でも、その前も結構な頻度で来てたよな?
そもそも合鍵渡したのだって、アイツが寒空の中、俺の帰りを待ってて風邪ひいてぶっ倒れたから、だし。
「あ、そーだ。宅急便来てたよ」
着替えの最中、そう言って部屋を覗き込んでくるオンナ。
「痴女」
「冗談。キミのぷにぷにな身体見ても楽しくないから、私」
「うっせぇ。ぺらっぺら」
反射的に言葉を返せば、凄い勢いで手に持っていたらしいシャチハタが飛んで来る。
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