Recipe.04

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  そんな言葉に、ジーッと顔を見つめれば、眉間に皺が刻まれる。 「……ほら?帰るぞ。俺、腹減った」 そう、頭を掴まれて、歩くように促されて。 その扱いに、若干の不満はあるけど、……ほんの少しだけオンナノコに見て貰えた事は、 やっぱり、嬉しい。 「私、キミの家に行くなんて言ってないもん」 「俺の晩飯」 「……あんた、私を何だと思ってる訳?」 「はるが来ると思ってたから、俺、何も用意してねぇもん」 当たり前に思われてる、金曜日の夜。 今の発言は、甘えてると捉えればいい?それとも、都合よい存在でしかない? 違うか。キミは、人を都合よく扱ったりするヒトじゃない。 「はぁる」 「何、食べたいの?」 「カレーが食いたい」 どこまで、侵食していけば、キミにとって必要な存在になれるんだろう? 「何カレー?」 「あれ食いたい。和風だったヤツ」 「キャベツカレー?」 「あれ、美味かった」 今のままじゃ、ダメだ。 キミのすぐ近くに、あんな手強いライバルが居る。 「キャベツあったっけ?」 「多分、ない」 「じゃ、スーパー寄んなきゃじゃない」 きっと、私が妹じゃないって解ってる。あの子。 きっと、すぐに次の行動に移す、あの子。 「……ねぇ、キミ」 「ん?」 私が、好きだと言えば、どんなカオをするんだろう? 「結局、先刻の子って、キミの何なの?」 「先刻の?……あぁ、後輩。アイツが新卒で入って来た時、俺が指導員だったの。アイツの」 あの子が、好きと言ったら、キミはどんな返事を返すんだろう? 「仲良いの?」 「や、別に。普通?何で?」 「……彼女出来ないのが私の所為。みたいに言ってけど、先刻の子が彼女候補だったりするのかな?と思って」 「あー。無いだろ?相手にされねぇよ。俺じゃ」 鈍感。 この場合、それに助けられてるのかもだけど。 「もし、可能性があったら?」 「無い無い」 好きって言ったら、好きになってくれればいい。 そうしたら、嫌って言う程言うのに。 「キミって、……バカだよね?」 「あ??」 焦がれた想いが苦すぎて、結局言えない私こそ、 バカ。 [Next]
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