Recipe.05

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  目の毒だ。 高校卒業以来、久々に見たはるのスカート姿。 そして、問答無用の生足。 今の俺にとって、はるのスカート姿は、正直、遠慮したい。 普段、逆に服に着られてる。みたいなダボダボとした服しか着ねぇのに。 冬に至っては、基本、指先しか出ない様な大きな服しか、着ねぇのに。 細っこいのは知ってる。 だから、別に身体の線を隠さなきゃならない訳じゃなく、あーゆー服を好んで着てただけだってのも知ってる。 「……勘弁しろよな」 なのに、何で今日に限って、そんなカッコな訳? 淡いブルーのワンピースに、カーディガン。 ちゃんと自分に合ったサイズであろうソレは、小さいながらも、普段は見る事のない胸の丸みまで解る始末。 「何?何か言った」 「……服、着替えねぇの?」 「何で?」 「料理中、汚れたら困るだろ?」 頼むから着替えてくれ。 「あ、そっか。カレーって落ちないんだよね?」 「お前の部屋着、そっちの部屋にあるだろ」 「んー」 つぅか、何で突然、あんなカッコなんだよ? 今迄、一度だって見た事ないぞ?あんなカッコ。 何だ?好きな男でも出来たのか?? いや、彼氏居る時だって、一切見た事ねぇよ。 スカート姿。 「ねぇ、キミ。私のシュシュ知らない?」 「ん?あー。ほれ」 「ありがと」 受け取ったソレで、無造作に束ねる髪。 今日のカッコの所為か、その細い首筋に、何だか見ちゃいけないモノを見てる気分。 「……何?」 「や。何か、やっぱ、はるはそーゆーカッコの方が、落ち着く」 それでも、見慣れた部屋着に身を包まれた事で、何だかやっと体の力が抜けた気分。 「似合わないって事?ワンピースが」 「……似合うけど。見慣れないから、何か調子狂う」 いっそ、似合いすぎだろ? こんな顔立ちして、あんなカッコすりゃ、……そりゃ、周りのヤツらもチラチラ見るよな。 「何それ?」 「どーゆー心境の変化な訳?あれ」 「別に。……部屋片付けてきたら出てきただけって、先刻も言わなかった?」 言われたけど。 だからって、普段着てる服と、好みが違い過ぎるだろ? 「……好きな男でも、出来た?」 聞けば、ピタリと止まる。 「あ?図星?」 「……だったら、嬉しい?」 「え?」 嬉しい? はるに、好きなヤツが居たら?? ……あ、れ? ダメだ。 何か、何を思うのかが、全然、自分で解んねぇや。  
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