Recipe.06

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  戦いの火蓋が、切って落とされていた。 それに気付いたのは、キミのメール受信の回数。 マメにメールをしないキミの携帯が、今迄にない頻度で鳴る。 キミの友達は、大体把握しているし、今迄、こんなにメール受信をしてた事もない。 つまり。 地下鉄駅で会った彼女は、私が思ってた以上に早く動いた。って事。 告白、とか、もうしちゃってるのかもしれない。 「……何だよ?」 「別に。珍しいな。と思って」 それでも、私がこの部屋に来る事に何も言わないのは、返事はしてない。って事? フラれたなら、こんなにメールをしては来ないだろうし。 ……何か、嫌なオンナだな。私。 「メールって苦手なんだよなー」 「珍しく、マメに返してるんじゃない?」 「……流石に、3回に1回位は返さなきゃ、マズイだろ?」 自分じゃあ、最後の一線を踏み込めずにいるクセに、キミのココロが動かない事ばかり、願ってる。 「ふーん」 「……お前からのメールはちゃんと返してるだろ?俺」 「まぁ、一応ね」 どうしよう、どうしよう、どうしよう。 ソレばかりが頭を占めるのに、動けないのは、この距離を失いたくないから。 でも、そんなの、ただの言い訳。 本当に欲しいなら、何もかもを失う覚悟をしてでもぶつからなきゃ、手に入らない。 それすらしないのに、……それが出来たであろう彼女に、 嫉妬する権利もない、か。 「……はる?」 「え?何??」 「着替えねぇの?服」 メールを送信し終えたらしいキミが、チラリと目線を向けて、でも、すぐに逸らす。 また、着替えを勧めてくるし。 ご飯支度前も言われたっけ? やっぱり、私にスカートって、似合わないのかな? 普段、こんなカッコしないし。 「今日、帰るもん」 「……何で?」 「明日、10時に札幌駅で待ち合わせしてんの。紗良と」 効果は無いみたいだけど、オンナノコらしい服、買いに行く。 このスカートも、日曜日に買ったんだけど、 ……キミは私のスカートも生足も、確実に興味をお持ちではない様ね? 「そっか。んじゃ、送ってく」 「何よ?もう帰れ。って?」 まだ19時なんですけど? ご飯食べたら、私、用無しですか?? 「いや、そーゆー訳じゃねぇけど、」 「けど?」 「……つぅか、さ。何で、今日もスカートな訳??」 今??  
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