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その場にしゃがみこんで、頭を抱えてる。
「ちょっと、キミ?」
「だから、お前自身慣れてねぇだろ?スカートとか、そーゆーカッコ」
慣れてないわよ。
だって、基本、好きじゃないんだもん。
「それが何よ?」
「無防備過ぎんの!危ねぇの!んな薄着なんだから、少しは気を付けろ」
「何を!」
「んなカッコで今みたいな角度だと見えるんだよ!胸がっ!」
……胸?
思わず、服を引っ張って、中を覗きこむ。
「覗くな!」
「いや。気にしていただく程のモノ、持ってないから」
「そーゆー問題じゃないっ!」
いや、だって。
まぁ、でも、確かに胸の空いた服とか、着ないもんな。私。
なるほど。こんな程度のモノでも気にはして貰える訳か。
「あー、もういい。今日は、やっぱり帰れ。送ってく」
「追い出すんだ」
「先に帰るって言いだしたの、お前だからな」
「キミが、」
スカートを嫌がるからじゃない!と続けたかった言葉は、口を塞がれて続けられなかった。
「いい子だから。今日は帰ろうな?」
「…………」
人の口を右手でガッチリ塞いで、にっこりと笑うキミ。
イロイロと不満はあるけど。
何だか、嫌がるのが、一応は意識して貰ってるらしい?という事みたいだから、今日は引き下がろう、かな?
* * *
車で5分程度の距離。
だから、車内での会話はいつも、殆ど無い。
基本、言い合う時や、喋りたい時以外、……案外二人でボーッとしてる時間の方が多いのよね?
家族、みたいなモノ。
一緒に居るからって、わざわざ会話を探す必要性なんて感じない相手。
その心地よさが、……ついうっかり恋愛感情になっただけなのよ。困った事に。
こんな事をぼんやり思ってる内に、もう私の家に到着。
「……寄ってく?」
「お前ね?いくら友達とは言え、こんな時間に男を部屋にあげるモンじゃねぇよ」
こんな時間じゃなくても、寄らないクセに。
「いつも、こんな時間に男の部屋にあがりこんでる事には問題ないの?」
「……俺とお前はお友達だから」
「言ってる事、矛盾してない?」
「いいの」
わっかんないな、キミのこーゆートコって。
ため息一つ。
車から降りようとする私の耳に、また、メール受信の音。
キミが携帯画面を確認して、また、元の場所に戻す。
「……メールの相手ってさ、」
「あ?」
「この前、地下鉄駅で会った娘?」
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