Recipe.06

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  聞けば、返って来るのは素直な反応。 「……よく解るな、お前」 誰でも解るわよ。きっと。 あの流れからの、そのメール受信量。 「告白でもされた?」 「っ、あ!?」 本当。 解りやすい反応。 やっぱり、告白済み、か。 「……はる?」 「付き合うの?」 「や。……そーゆー風に見た事無かったし、今、ちょっと保留中」 そーゆー風に、見た事、無い。 私にも当てはまるであろう言葉だけど、……私の場合、保留にもならないんだろうな。 「付き合い始めたら、教えてね?」 「ん?」 「流石に、彼女持ちの家に入り浸る趣味は無いから。安心して」 私、ちゃんと笑って言えてるかな?これ。 「異性の友達って、そーゆー時、不便だな」 「……そんなモンでしょ?今迄だってそうじゃない」 あー、無理だ。 ちょっと、限界。 「じゃ、おやすみ」 「ん?あー。おやすみ」 車から降りて、急いで階段を駆け上がって、 でも、視界の端、まだキミの車が見える。 キミはいつも、私が部屋に入るまで帰らない。 過保護な、友情。 オンナとしては欠片も愛情を貰えはしないけど、友達として愛情は沢山貰ってる。 大事にしてくれてる。 視界が滲んで、キミの車がぼやける。 きっと、こっちを見てて、だから、いつも小さく手を振ってから、部屋に入る。 ほら、限界。 サンダルの上に、涙の粒が零れ落ちる。 足にも、その指にも。 泣くほど、泣いていいほど、頑張ってもいないクセに。 どう、頑張れば良かったんだろう? 想いを告げるのは、キミを失う可能性が高くて、 それは、この恋を失う事より嫌で。 そう、だよ。 絶対に失いたくないのは、キミだけだ。 大丈夫。 今迄だって、何度も失恋してる。 裏切られて、あんなに泣いたのも、今はもう過去だもん。 いつか、この気持ちだって過去になる。 キミに彼女が出来たら、あの娘と付き合う日が来たら、笑顔で祝福して。 会う時間が減るであろう、その間に、この気持ちを過去にしよう。 大丈夫。 失恋なんて、大した傷じゃない。 キミを失う位なら、この恋を失う方が、よっぽどいい。 友情は、失わないもの。 [Next]
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