Recipe.08

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  ……様子が、変だ。 「はる?どーしたの?」 「え?あ、うん」 通話が終了している携帯の画面を見つめる。 拭えない違和感が妙な不安を誘う。 「キミ君でしょ?今の電話」 「……う、ん」 「何かあった?」 「何か、って言うか、何か、声おかしかった」 何で? 「様子見に行く?私達、帰るよ?」 「ってか、時間的に危ないから、キミ君の家の前まで一緒に行くよ?」 紗良と恭久くんの言葉に、少し困った様な笑顔を返してしまう。 三週間まるまる、わざと距離を置いた。 キミと会わない様にしてた。 その間に、何かあった?? 「大丈夫。明日、夕方、CD届けてくれるみたいだし、」 「でも、はるちゃんは行きたいんじゃないの?」 「ううん」 来ては、欲しくないみたいだった。 取りに行く。と言った私に、届けるから。と言ったのは、多分、そーゆー事。 ソレに、またココロが波打つ。 キミに何かがあって、でも、私に言いにくい事? 「……どーしよう」 身体の力が抜けて、立っていられなくて、その場に座り込む。 「はる?」 「はるちゃん??」 そうだよ。 あれから、三週間経ってる。 あの娘に、キミが返事をしていてもおかしくないだけの時間。 「キミ。……彼女、出来ちゃったのかも」 覚悟していた。 心の準備の為に、会わない様にしてた。 でも、いざ、ソレが目の前にチラつけば、全然ダメ。 「どーしよう」 「はる、」 「私、……ちゃんと、笑えるかなぁ?」 笑えなかったらどうしよう。 笑えなかったら、 ……どうすればいいんだろう? * * * キミが私の家に寄るなんて事は、今迄一度も無い。 送ってくれた時に、寄っていく?と声を掛けても、一度だって寄らなくて。 そのキミが、わざわざ、用事があるとは言え、帰りに寄る。なんて言い出す事自体、おかしい。 きっと、部屋の中には入りはしないんだろうけど。 玄関先で、CD受け取って、……あぁ、合鍵返さなきゃダメだ。 そんな事ばかり考えてたら、夕方、20時半過ぎになる。ってメールが入った。 ……そして、現在、20時15分。 キミが帰った後に、何か出来る自信が無かったから、晩御飯もお風呂も全部済ました。 キミから言われるであろう何かを聞いた後、すぐに眠れる様に、もう、準備は整えた。 良かった。明日、日曜日で。  
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