1860人が本棚に入れています
本棚に追加
料理を頑張ってみたけど、それもオンナである事を思いだして貰うには至らなかった。
「キミ君の好きなタイプって?」
「……私と正反対」
「はると、正反対?」
首を傾げる紗良を見上げて、無意識に唇が尖る。
「え?はる??な、に?」
「キミのタイプは、背が高くてスタイルが良い、優しい美人系。つまり、紗良みたいなのがタイプ」
私、背ぇ小さいし、胸無いし、口悪いし、我儘だし、美人なんて言われた事ないもん。
キミなんて、アレよね?私をオンナと思って無い以前に、ヒトじゃなくて、動物か何かだと思ってるわよ?きっと。
「とりあえず、褒め言葉は有り難く受け取っておくけど。背が小さい以外、はるだって当てはまるんじゃない?ソレ」
「うん。まぁ、どちらかと言えば、はるちゃんは美人ってよりは美少女系だけど」
フォロー有難う。
二人の優しさは嬉しいけど。
「キミは、オトナっぽいヒトが好きなの」
「…………」
流石に黙るよね?そーだよね?
自分でも解ってる。
未だに、うっかり夜の繁華街を歩いていようものなら、補導されかける。
勿論、呼び止めてから、「あ」みたいな顔して去っていくけどさ。
お酒も身分証明書の提出求められるしね?
解ってるもん。
「今更、私の顔が年相応になるなんて無理だもん」
童顔なのは家系だもん。
遺伝子レベルの問題は、努力では解決しない。
「でも、友達って、結局は好きなヒト。な訳だから、可能性はゼロじゃないでしょ?」
「友達って、一番の恋愛対象外じゃない?」
「どうだろーな?その辺は、男女の差があると思うけど」
そう言えば。
いつだか、女は純粋な友情を築いてるつもりでも、男には下心込みの友情もある。って、誰かが言ってたっけ?
……ソレは、ソレで、何か嫌だ。
「はるちゃんだって、友達だったキミ君を好きになっちゃったんだから、その逆が絶対無いとは言えないんじゃない?」
「そうだよ。はる、可愛いもん。そこは自信持っていい」
あー。
ココロが折れる度、二人が傷を癒してくれる。
「……にしても。どーやったら、私がオンナだって気付くんだろ?アイツ」
女扱いはしてくれてるけど、絶対にオンナだと思って無いもん。
「あ」
「何?紗良」
「単純な事だけど、外見から変えてみる、とかは?」
外見??
最初のコメントを投稿しよう!