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「黎君、どうしたの!?」
真っ先に駆け寄る安田先生。
可愛らしい女性でパッと見は成人してる様には見えない。
「えっと、何かちょっと混乱してて」
そう答えれば、怪訝な顔をされる。
「風邪気味、と言うのは嘘か?顔色は悪いし具合も悪そうだが。何で引き籠ってたんだ?」
白衣を着た大川先生は、俺の顔を見ると額に手を当て言う。
「記憶が無くなったんで、混乱してて、どうしたら良いのかわからなくて」
そう答えれば。
「「「はぁっ!?」」」
驚く3人に説明する。
「駅で、気付いたらそれまでの事が全部思い出せなくなってたんですよね。自分の事も。もう何が何だかわからなくなって、混乱中です。何で俺、此処に居るんですか?」
「え、記憶喪失?ちょっと待て」
大川先生は俺の頭を撫で回し。
「ぶつけた様な外傷は無いな」
少しホッとした様に言う。
「自分の事も思い出せないって?」
勝呂先生が眉を顰めてる。
先生なら性別の事も知ってるかな?
「そうです。駅から部屋で着替えるまでは俺は男だと疑わなかったのに違ってて、驚きました」
「え、そこから!?」
安田先生が目を丸くする。
「自分の事も名前しかわからないし、班のメンバーもクラスメイトも先生方も認識は出来るんですけどそれだけで、もうどうしたら良いのかわからなくなって部屋から出られなくなったんです」
頷いた俺の説明に、3人は顔を見合わせた。
「何にせよ病院に連れて行った方が良いな」
……あー、病院送りかぁ。
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