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その言葉に、馬鹿、と言われ。
「謝る事じゃ無いだろ?黎は悪い事してないんだから」
と優しい声。
「でも迷惑掛けたし」
「迷惑じゃ無い!それなら俺達も一杯掛けてる!」
「いきなりリタイアだし」
「元々体力使わないのだけの参加だろ」
「へ?そうなのか?」
「身体が弱いんだから当たり前だろ?って、覚えてないのか?」
「うん、俺って身体が弱いんだ?」
「そうだよ。だから無理しないで、一緒に楽しもうって約束だったんだよ」
またドアをパンッと叩かれる。
「何か色々本当にゴメン。俺、覚えてないし、病院行くし、楽しめなくなったよな?」
「本当だよ。だからちゃんと此処を開けて顔を見せろよ」
顔は見えないけど、悲し気な声だ。
胸が痛くなる。
何も覚えて無いけど、俺が男だったら無理言ってこのまま参加させて貰うのになぁ。
「あー、荷物纏め終わったら開けるから」
あまり接触するのは不味いだろうと思い、そう返す。
「それじゃ就寝時間になるし、荷物纏め終わったら病院に行っちゃうんだろ?今開けろよ」
上総はそう言うとまたドアノブをガチャガチャさせる。
……ゴメンな?上総。
「俺の事は放っておけよ。お前は自分の事を考えてろ。明日から大変そうなんだから」
突き放す様に言えば、ドアをドンッ!と叩かれて、馬鹿野郎!と怒鳴られる。
それに何も返さずにいれば、上総もそれ以上は何も言わなかった。
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