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「おーい黎(れい)、次は何処に行くんだ?」
後ろから声を掛けられて、俺は手元の地図を覗き込む。
と、不意に肩に顎が乗せられて耳に息が掛かった。
「わっ!?何!?」
擽ったくて思わず身を捩れば。
「悪い、感じたか?」
クスリと笑う悪友、上総(かずさ)。
「馬鹿、擽ったいだろうが」
横目で睨んでから地図に目を戻せば、後ろから抱き付いて、と言うより首に腕を絡めてのし掛かってくる。
「ぐ、重い」
「今、此処だろ?で、目的地が此処だからー」
俺の上から手を伸ばして、上総は地図を指でなぞる。
筋肉質の腕と大きなゴツい手にドキッとする。
なんて羨ましい筋肉!手もデカくて良いなぁ。
けど!
「うー、重いって上総、退いてくれ」
「えー、黎ってば冷たいなぁ」
そう言って顔を擦り寄せてくる。
う、近い近い近い!
「そう言う問題じゃなくて潰れるからっ」
ドキッとしたのと重苦しさとで声を絞り出せば、あれ?と腕を解き、俺の顔を覗き込む上総。
「本気で苦しかったか?悪い、体格差を考えてなかったな。お前、早く大きくなれよなー。華奢だし、女装したら似合いそうだから惚れそうで怖いわー」
笑いながら俺の頭を大きな手でポフポフ叩いてくる 。
「何だよそれ!俺よりちょっとデカイからって、上から言うんじゃねえよ!手退けろ!縮むだろ!」
身長が20センチ位高い上総に上目遣いで言えば、お前それ反則、と顔を背ける。
は?何が反則なんだよ?
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