出会いの季節は雨が降る

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不思議な女だと真次矢は思った。 出会ったばかりの、しかも合コンの帰りに「友達」を作るなんて。 真次矢は、そのメモを濡れないようポーチに入れた。 「真次矢、いつの間に姫と仲良くなった?」 友人が聞いてきた。 「さっき外に出た時」 「ふーん。姫が自分からケー番渡すとはね、驚きだよ。」 友人は、おどけたように肩をすくめた。 「珍しいのか?」 「少なくとも男が渡されたことはないな。いつも女の子とばかり仲良くなって帰っちまうから。」 友人は、そっけなく言ったが言外に匂わすような発言をする。食えないやつだと真次矢は思った。だが自分もそうだと思い、心の中で苦笑してはいたが。 途中で友人と別れ、帰宅した真次矢は早速、有希の連絡先をアドレス帳に登録した。 「楽しくなりそうだ。」 そうつぶやくと、本を取出し読み始めた。途中、リンゴを剥きフォークで突き刺し齧る。どんなことをしようが、真次矢の口角は上がったままであった。 今はただ二人の出会いについて紹介するに留めようと思う。続きはまた今度、ゆっくりお話ししよう。 うん?私が誰かだって?それもまたいつか話そう。 とにかく今は雨が降った出会いの夜のお話である。それ以外は無粋だろう。
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